妻が寝息をたてていた。
すー、すー、と。
彼女は数日前、涙をぼろぼろこぼして「そこへいきたい」といった。
そうまでされて、ことわる理由もなかった。
仙台へと向かう夜行バスに乗っている。
いとこの結婚式に出席するために。
単調な走行音と、定期的に路面の継ぎ目を踏む振動。
遮光カーテンの隙間からオレンジ色の光が漏れこんでくる。
浅い眠りをくりかえして、とりとめのない夢をみた。
あの家の縁側で話していた誰か。
ながいこと忘れていた誰か。
揺り起こされた気がして、ふいに飛び起きた。
車内はしんとして、妻は今も寝息をたてている。
すー、すー、と。
バスがインターを降りる気配がした。
俺たちは朝食をとった後、仙石線の始発に乗るだろう。
あの街が近づいてくる。
帰りたいとは思わなかった。
それでいいと思ってた。
それは今でも、一緒だろうか。
【Schedule】
<日程>
11:00 | 14:00 | 17:00 | 20:00 | |
10/2(Fri) |
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10/3(Sat) | ● | ● | ● | |
10/4(Sun) | ● | ● | ● |
西武新宿線鷺ノ宮駅から徒歩6分
<日程>
16:00 | 19:00 | |
10/10(Sat) |
● | ● |
<日程>
14:00 | 17:00 | |
10/11(Sun) |
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2007年6月、猫の会を旗揚げ。劇作家・製作者としてゆるくてやさしい演劇を世に送り続けている。コミュニケーション教育にも長く携わり、児童生徒を対象とした演劇ワークショップの講師としても活躍中。
劇作においてはナチュラルな対話や生活感あふれる人間世界を活写すること、そしてその裏側にきっと息づいている異世界とのコンタクト、時には往還を描き出すことを好む。
人から人でないものまで、その確かな息遣いを客席へと届ける作品作りを心がけている。
2015年2月、芝原弘に宮城へ連れられて以来ホヤと日高見をこよなく愛す。
演出家・ワークショップファシリテーター
フリーの演出家として演劇・オペラ・ミュージカルなど様々なジャンルの演出を手がける。近年では「身体の景色」にて山の手事情社、SPAC、ク・ナウカの俳優などと共に公演を重ね、密陽演劇祭(韓国/密陽)ソウル・シェイクスピアフェスティバル(韓国/ソウル)に招聘される。演劇フェスティバル「ガチゲキ!!」にて特別審査員賞受賞。高校演劇への関わりも深く、高校演劇サミット2012-2015サミットディレクター、千葉県大会の審査員などを務める。またワークショップファシリテーターとしても様々な地域で活動している。都立総合芸術高校講師・多摩美術大学非常勤講師。